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CSRを巡る動き:女性活躍支援を価値創造につなげるために

2014年10月01日 ESGリサーチセンター


 女性が輝く日本を実現することは、アベノミクスが重要視するテーマの1つです。労働市場における女性活躍支援は、これまでも政府が掲げる政策でした。ただ、これまでとは異なり、アベノミクスでは同テーマが経済成長の鍵に位置づけられたことで、大きな注目を集めています。9月上旬に実施された内閣改造においては、女性閣僚は2名から5名にまで拡大しました。女性登用に積極的な政府自体の姿勢もうかがえます。

 何が問題なのでしょうか。日本では、第1子出産前有職者の約6割が第1子出産を機に離職してしまいます。さらに、働き続けていたとしても、キャリア登用への道は限定的です。就業者に占める女性の割合は4割程度なのに対し、女性管理職の比率は1割超と大きな乖離があります。いずれも、女性活躍支援が進む諸外国では見られない現象です。
 こうした状況を打開すべく、政府は女性の継続就業支援や再就職支援等の施策に取り組むと同時に、2020年に指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30% 程度とするという目標を掲げています。目標達成に向け、企業の取り組み開示を促す施策を推進しています。有価証券報告書に役員の女性比率の記載を義務付けることとし、早ければ平成27年度から実施の見通しです。さらに、女性管理職比率や女性登用に関する目標の有無・内容といった情報も、内閣府HPの女性活躍「見える化」サイトで閲覧できるようになりました。同サイトでは、2014年8月末現在、1223社の情報が開示されています。
 企業側も、女性活躍支援に向けた動きを活発化させています。2014年4月には、経団連が「女性活躍アクション・プラン」を策定・公表しました。同プランには、会員企業により開示された女性の役員・管理職登用に関する自主行動計画を経団連ウェブサイト上に公開する、という内容も含まれており、2014年8月末時点で、既に49社の自主行動計画が公表されています。
 
 なぜ企業は、女性活躍支援に取り組む必要があるのでしょうか。諸外国に比べて遅れているからでしょうか。女性の働く権利を尊重するためでしょうか。それらは政策面での大義名分ではありますが、ビジネスに新たな視点を入れることで、新たな価値が創出され、経営効果が実現するから、というのが企業にとっての一番の理由ではないでしょうか。
 ここに身近な例があります。日本では2014年3月に公開された、「アナと雪の女王」は、日本の歴代興行成績3位となる大ヒット作となりました。善と悪が明確、素敵な王子様に助けられるお姫様、というこれまでのストーリー展開とは異なり、善と悪は必ずしも明確ではなく、困難に立ち向かう力強い女性像、姉妹愛を描いたものでした。自分の世界に閉じこもって生きてきた姉エルサが、あるきっかけにより自分は自分らしく生きることを決断し、その想いを歌った「Let It Go~ありのままに~」は多くの人の共感を得ました。
 この大ヒット作を作った2人の監督のうち、1人は女性で、さらにディズニー映画では初の女性監督でした。同作品には、女性ならではの発想や視点が存分に活かされており、それがヒットの要因の1つであったと言われています。
 
 女性活躍を新たな価値の創出につなげるためには、女性がその人らしさを十分に発揮することが必要です。育児や介護と両立しやすい環境を整え、キャリア研修を行うことが重要なのは言うまでもありませんが、それまでにはなかった視点を許容するような雰囲気を醸成し、長時間残業体質を改善していくことも重要です。女性が「ありのままに」働ける職場であれば、ビジネスに新たな視点が導入され、価値創出が実現し、女性活躍の取り組みは経営効果につながるのではないでしょうか。
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