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介護に取り組む家族の支援に資する民間サービスの普及・促進に関する調査研究事業

2017年04月10日 紀伊信之


*本事業は、平成28年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

事業の目的
 近年、「介護離職」が課題となっている。介護により離転職した雇用者数は、平成19年10月~平成24年9月までで総計439,300人に及ぶ(総務省 平成24年就業構造基本調査)。また、離転職に至らないまでも、「働きながら介護をしている」人は50代では約1割に達する(同上)。団塊世代の高齢化に伴って、今後、「仕事と介護の両立」はますます大きな社会的課題となっていくことが確実である。
 これら介護に取り組む家族の支援については、民間サービスの充実が期待される。とりわけ、介護保険サービスは、主として介護が必要な本人を対象とするものであるため、介護に取り組む家族に対する支援における公的保険外サービスへの期待は大きい。
 日本総研では、地域包括ケアシステムを構築していくために、民間の公的保険外サービスの質・量両面での充実を図るべく、公的保険外サービスの取り組みについて調査研究を重ねてきている。公的保険外サービスの中でも、特に「介護に取り組む家族の支援」に焦点を当て、民間企業による介護に取り組む家族向けのサービスへの参入・拡充促進を図るとともに、勤務先企業での民間サービスの活用を促進することが本調査研究の目的である。

主たる事業の内容
 本調査における主な実施事項は以下のとおりである。
1.介護に取り組む家族に対するアンケート調査(1,030名)
2.ケアマネジャーに対するアンケート調査(410名)
3.介護に取り組む家族向けの民間サービスの事例調査(9法人)
4.企業における従業員の介護支援についての事例調査(6社)
5.セミナー(シンポジウム)の開催
 本事業で実施した調査研究の成果を広く周知するとともに、介護に取り組む家族の支援に資する民間サービスに関心のある企業、介護事業者、行政等の担当者間でのネットワーク構築と、今後のサービスの普及促進に向けた意見交換を目的として、以下の通り、公開セミナー(シンポジウム)を開催した。

セミナー(シンポジウム)開催結果概要

タイトル地域包括ケアシステムにおけるこれからの保険外サービス
~地域での展開と家族支援~
日時2017年3月30日(木) 14:30~17:00 (開場14:00)
会場三井住友銀行東館 ライジング・スクエア 4階 (東京都千代田区丸の内1-3-2)
参加費無料(事前申し込み制)
参加者107名(一般企業の福利厚生担当者、介護事業者担当者、自治体職員、メディア等)
プログラム14:30 開会

<第一部 保険外サービスガイドブック発刊後の動向と自治体の取り組み>
14:35 公的保険外サービスに関する政策動向
      厚生労働省経済産業省
15:05 公的保険外サービスの普及拡大に取り組む自治体の取組事例
      愛知県豊明市福岡県福岡市
15:35 地域における事業者間連携の取り組み
     くまもと高齢者支援インフォーマルサービスネットワーク

<第二部 介護に取り組む家族向けの保険外サービス>
15:50 民間事業者事例紹介
    ・認知症家族の見守り 社団法人セーフティネットリンケージ
    ・仕事と介護の両立支援 株式会社wiwiw
    ・情報の面からの家族支援 株式会社エス・エム・エス

16:40 本年度調査研究結果の紹介 株式会社日本総合研究所
17:00 閉会

調査研究結果のまとめと考察

<調査結果のまとめ>
1.介護に取り組む家族に対するアンケート調査
・介護に取り組む有職者の半数以上が「仕事と介護が両立できていない」と回答。とりわけ、女性正社員は約6割が「両立できていない」。
・両立に立ちはだかる最大の壁は「情報の不足」や「相談相手の不足」である。
・保険外サービスについても、「良いものは積極的に使いたい」人が多数派であり、仕事と介護の両立を支援してくれるものとして期待されている。
・介護保険サービス・保険外サービスの主たる情報経路はケアマネジャー。「勤務先」への情報提供を求める意向と実際の提供状況との間にギャップあり。
2.ケアマネジャーに対するアンケート調査
・ケアプラン作成時に家族の状況やニーズは重視するが、家族の働き方や勤務先の状況までつかむことは難しいのが実態。
・家族支援の面でも保険外サービスは重要だという意識はあるが、実際に提案するのは「家族から要望がある場合」に限られるケアマネジャーが多数派である。
・保険外サービスを推奨する上でのネックは、価格に次いで「事業者の情報」である。
3.介護に取り組む家族向けの民間サービスの事例調査
・「仕事と介護の両立」に向けて、セミナー等の情報提供や相談窓口を企業から受託(アウトソーシング)するサービスが成長している。
・「産業ケアマネジャー」や「介護離職防止対策アドバイザー」など、「仕事と介護の両立支援」に関する専門人材を育成する動きあり。
・高齢者の見守りや家族向けの情報提供、介護事業者とのコミュニケーション支援等の新たなサービスも登場しつつある。
4.企業における従業員の介護支援についての事例調査
・大企業を中心に、従業員の介護に対する実態把握を行い、対策を実行する動きが広がりつつある。共通するポイントは「実態把握」、「情報提供」、「相談窓口や個別支援の体制構築」、「風土醸成」であり、外部の専門的なサービスを効果的に活用するケースも少なくない。

<考察・提言>
 調査研究の結果を踏まえ、以下の3点がポイントとして挙げられる。
・「仕事と介護の両立」に向けては「情報提供」や「相談体制」が重要であり、その機能を代行するアウトソーシングサービスの潜在的な成長余地は大きい。
・「両立支援」と「保険外サービスの普及促進」の両面において、「事業者⇒企業(勤務先)⇒家族」といった経路での情報提供の充実が期待される。
・家族支援を含めた多くの機能をケアマネジャーに期待することは現実的ではなく、「仕事と介護の両立支援」を専門的に支援する人材・職業の確立が求められる。


※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
 報告書PDF

本件に関するお問い合わせ
リサーチ・コンサルティング部門 マネジャー 紀伊信之
TEL:06-6479-5352 E-mail:kii.nobuyuki@jri.co.jp
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