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【日印人材交流調査シリーズ1】
インド人訪日客の現状と展望-足許の12万人から2030年代には100万人台へ

2017年06月26日 熊谷章太郎


要約

  1. はじめに

    ・2016年の訪日客数は過去最高の2,400万人に達した。政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に訪日観光の魅力をアピールし、2020年に4,000万、2030年に6,000万人に増加させることを目標としている。訪日客の持続的な増加を図るうえで、中国に次ぐ人口を擁するインドからの訪日客の誘致は極めて重要であるが、2016年のインド人訪日客は12万人程度とアジア主要国の中で最も少ない。


  2. インド人の出国構造

    • インド人出国者の大半はデリーやムンバイから空路で出国しており、出稼ぎ労働者の多く滞在する中東諸国及びインド系移民が多く在住する米国・欧州などが主たる訪問先地域・国となっている。近年のアジアへの訪問動向は、2014年のクーデター後の政治の安定化を受けてタイへの訪問者数が持ち直し・増加傾向が続く一方、シンガポール・マレーシアへの訪問者数は低迷している。


  3. インドの訪日構造

    • 他国からの訪日客と比べると、インドからの訪日客には、1)商用客、2)男性、3)30~39歳、4)初回の訪日客、の比率が高いといった特徴がみられる。また、商用客比率が高いことを背景に、東京をはじめとする首都圏の訪問先比率が高くなっている。


  4. インド人訪日客の訪日制約要因

    • インドからの訪日客数がアジア主要国の中で相対的に少ない要因としては、1)地理的な距離の遠さに伴う旅費の高さや訪日所要時間の長さ、2)インドの所得水準の低さ、3)日印の経済的結びつきの相対的な薄さ、4)訪日ビザの取得に関わる手続きの煩雑さ、5)日本国内の受入環境の未整備(観光産業の就業者の英語力の低さ、ヒンドゥー教徒・イスラム教徒の食事に対応したレストランの不足)、などが挙げられる。


  5. 展望

    • 先行きはインドの人口増加や所得水準の増加を主因に、インドからの訪日客数は2030年代に100万人台に増加すると見込まれる。訪日客の受入環境の整備が順調に進めば、より早い時期に同水準に達する可能性もあろう。ただし、過去の五輪開催国にインド人訪問者に大幅な増加が見られなかったことを踏まえると、五輪の効果に過度の期待は禁物といえる。


  6. 持続的なインド人訪日客の増加に向けて

    • インドからの訪日を促進するためには、現在デリーとムンバイを中心に展開している訪日誘致に向けたプロモーション活動を、経済発展と所得向上の速度が速いタミル・ナドゥ、グジャラート、ケララ、カルナタカ、テランガナ、ハリアナなどの州にも拡大していくことが検討に値する。この他、アニメ、マンガ、ドラマなどの日本のコンテンツの普及、IT分野を中心としたインドからの対内投資の促進、ビザ取得条件の簡素化なども重要である。

レポート全文
【本調査レポートについて】

なぜ、日印関係なのか
• インドは日本にとって戦略的に重要なパートナーであるものの、経済・人的なつながりは他国と比べて薄く、二国間関係の深化に向けた取り組みの強化が求められる状況。

なぜ、このタイミングなのか
• 日印両政府は、両国の友好関係を更に強化し、様々な分野での交流が深め、相互理解が一層増進されることを期待し、2017年を「日印友好交流年」に設定しており(注)、本年は日印間の人材交流について改めて考えるのに相応しい。
注 2016年11月にモディ・インド首相が訪日した際、安倍首相との間で、日印間の人材交流の活発化に向けて2017年を日印友好交流の年とする合意を受けたもの。

本レポートの位置づけについて
• 本レポートは、日印両国の人材交流の促進に向けて、二国間の観光、高度人材の受け入れ、留学生の受け入れなど、の人材交流について調査。
• 本事業は、外務省の「日印友好交流年記念事業」登録済事業。
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