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コラム「研究員のココロ」

営業活動実績情報は活用されているか?
~ SFA,CRMツールの更なる活用に向けて ~

2006年03月06日 太田康尚


1.営業活動実績情報の活用実態

 営業改革の一環として、「営業プロセス管理の導入」や「科学的営業の実践」などをテーマに掲げ、営業活動を報告させてマネジメントする仕組みであるSFA(Sales Force Automation)ツールやCRM(Customer Relationship Management)ツールを導入した企業が増えている。一方で、その有効性に関する議論も未だに多いのも事実である。
 ツールの導入期に多くの労力と費用を投入したが、営業現場において表面的な使用にとどまり期待していた効果が出ていないとか、最悪の場合は運用すらされずに失敗することも多かった。しかし、業務およびツールの改善や教育の実施などによる企業努力の末、その真の目的と有効性が現場に認知されるようになってからは、活用度の違いはあるものの、そのような初期段階での挫折は減少している。
 ツールの運用を軌道に乗せるという初期段階のハードルをクリアした企業においては、新たな取組みが始まっている。それは、苦労して蓄積した膨大な営業活動実績データを営業活動分析やマーケティングなどの分野においてより有効に活用しようという取組みである。
 しかし残念ながら、企業は実際に蓄積されたデータを分析する際に費やされる労力の大きさとその効果に対する疑問から本格的に取組んでいる企業はまだ少ない。当初の目的を達成したならば、さらに有効に活用する可能性をまず探ってみてはどうか。蓄積された営業活動実績データは重要な財産であり、それを活用しないのは非常にもったいないからである。


2.営業活動実績データの活用事例

 ツールの更なる有効活用を目指している企業の中には、蓄積された営業活動実績データを分析し発見された知見を積極的に活用している企業も増えている。ある企業では、営業担当者が製品毎・顧客毎にその活動内容を報告するSFAツール(システム)を導入している。基本的な機能は、営業担当者と管理者との報告や連絡機能、および顧客に対する営業プロセスを記録する機能であり、順調に運用されている。当初の目的は達成したが、折角蓄積した営業活動実績データをもっと有効に活用できないかということで、様々なデータ分析を経て活用範囲を広げていった。以下に主要な活用分野を紹介する。
  • 新たに製品を市場に投入する際、製品特性別にどの程度の営業活動量が必要かを過去の蓄積データからある程度推測することが可能であると判断された。そのことにより、類似の製品を投入する場合にどの程度の営業資源(営業時間)が必要かを推定することができ、営業担当者の過不足が見えるようになった。つまり、それら裏付けデータと競合に勝つために必要な拡販期間から、拡販に必要な営業体制の整備計画を立案することに活用している。

  • ある顧客特性ごとに購買傾向があることが蓄積データから確認できた。ロイヤリティの高い顧客は代理店からの案内だけで購買するが、一方比較購買を基本とする顧客にはある程度の営業時間を掛けないと難しく、競合へのロイヤリティが高い顧客はそれ以上の労力を掛けないと難しい。これらは当たり前のようなことだが、実際にデータから語られたので、同社は営業活動方針として、顧客特性別に営業チャネルや営業活動量を調整するという意思決定を行なった。もちろんこのとき、長期的な視点で重要な顧客に対する政策などは加味した。これらの取組みにより、従来よりも短い期間で、効率的な新製品の販売ができた。

  • 営業担当者の活動には「質」や「効率」の違いが当然ある。これらを比較しようとしても担当エリアや顧客の特製による違いだとか、いろいろな理由で定量的な比較は否定されがちである。しかし、細かい理由を置いておいて全体を見回してみると納得できる傾向も見えてくる。営業担当者の経験期間別にその効率性を比較してみたら、営業経験3年未満はその効率に大きなバラツキがあったが、3年を超える辺りからそのバラツキが少なくなった。つまり、ある程度の経験を積むとそれなりの効率的営業活動ができるようになる。一方、優秀な人間は短期間で効率的な営業が可能であるが、やはりある程度の経験が無いと効率的営業が難しい。この結果を受けて、営業部隊の底上げを検討する際に、3年程度必要となる経験をいかに短縮できるというところに焦点を当てて、3年未満の人間を中心に教育の見直しを実施した。

 この企業は、蓄積されたデータを用いて仮説と検証を繰り返すというこれら取組みを継続することにより、様々な推定における精度を向上させている。


3.おわりに

 苦労して蓄積した営業活動データをどの程度活用できるか是非一度検討してみてはどうであろうか?そこには今まで見逃してきた新しい発見や従来からそうであろうと思われていた事象の裏付けが隠されていることもあるであろう。また、そのような営業活動分析を定期的に行なうことにより、より効率的で質の高い営業活動をするための改善活動推進の原動力とすることも期待できる。
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